ストーリー解説
前回の戦闘で無人機に位置を掴まれた空母エンデュランスは、デルファイム港に到着するも敵の奇襲空襲に晒される。低空で突入を図る無人機をジョーカーワンが撃墜するものの、二方向から攻撃機や爆撃機を含む敵編隊が飛来。ジョーカー隊が迎撃にあたり空襲部隊を全て撃墜したものの、低空で執拗に迫った無人機に対し、僚艦のイージス艦ステルウォートがエンデュランスの盾となって割って入り被弾。乗員41名の犠牲を出して撃沈される。
艦隊の犠牲によって辛うじて生き延びたエンデュランスは、デルファイム港へと逃げ込み停泊を果たす。しかし現地政府はソトアとの国交回復を画策しており、艦への正式な補給は拒まれていた。そこでDDは自社エンソーの世界的な企業ネットワークを使い、食料の独自調達を申し出る。
さらにFCU海軍は壊滅したものの北方ホワイトバレーに臨時司令部が存在すること、そしてFCU北部を蹂躙したソトア軍の巨大兵器「陸上戦艦1番艦」が再始動し、かつてエンデュランスの入港を拒んだ中立国サンサルバシオンへ向けて侵攻を開始しようとしているという情報を提示する。
修理と補給のためサンサルバシオンを見捨てて北のホワイトバレーへ向かうか、それとも現地へ引き返すか。選択を迫られる中、パイク副長らは企業の論理で船を誘導するDDの思惑に従わざるを得なくなっていく。
ニュース映像が語る戦争の全貌
大国ユークトバニアへの軍事的対抗を理由に、急速かつ極端な工業化を推し進めたソトア共和国。しかしその代償として、数百年来の環境問題であった国土の砂漠化が致命的なまでに加速した。遊牧民族であったソトア人は生活基盤である草原の大半を失い、当初は暫定的な措置として首都機能を海上メガフロート上へと移転させた。
それから5年、近海には軍港や飛行場、工廠などの兵器製造機能を網羅した軍閥連合体の巨大海上統合軍事拠点「メガフロート・ファトシア」が建設され、着々と侵攻準備が整えられていた。
そして7月16日、ソトア軍は中央ユージア連合FCU東沿岸部に対し、衛星軌道質量兵器「トニトルスの槍」による先制攻撃を敢行した。衛星軌道上から質量弾を投下し、純粋な運動エネルギーのみによって地上を粉砕するこの攻撃により、国連司令部が置かれていた大都市エクスポシティは一撃で壊滅。中央広場通り、リリーヒルズ小学校、海浜公園など市街地全域が瓦礫の山と化し、被害の全容は現在も判明していない。国際社会から非難を浴びる中、ソトア側は軍事的な公共施設を標的にしたと主張した。
抵抗力を奪われたFCU東沿岸部へ、ソトア軍は陸上艦隊を上陸させて占領を開始。大陸北部では「陸上戦艦1番艦」、大陸南部では「陸上戦艦2番艦」が先頭に立って電撃的な侵攻を繰り広げ、FCUの防衛戦線を瞬く間に突破した。押し寄せるソトア軍の猛攻はFCUを軍事的・政治的に分断し、東から西へと占領地を急速に拡大。その矛先はFCUの首都シーヴへと向けられた。
首都シーヴは猛烈な混乱の渦に巻き込まれ、現地にいた整備士官ジェンキンズは、基地が爆砕される中で離陸するヘリコプターへ飛び乗り辛うじて脱出した。その後も行く先々でソトアの侵攻に便乗した分離独立主義者たちが次々と蜂起し、逃亡と追撃戦の末、川を泳いで渡るほどの過酷な撤退劇を強いられた過去が語られる。
ターシャ親子の素性とエンソーの真意
ニュースを見届けていたジェンキンズは、当直明けの乗組員専用である食堂に見慣れない民間人の男がいることに気づき誰だと問い質す。その男は3番機パイロットであるターシャの父親であった。
ターシャはユークトバニア屈指の曲技飛行チーム「チーム・ズヴェズダ」の看板エースであり、幼少期から英才教育を施されたスタンドパイロットであった。開戦直後、空母エンデュランスに乗艦していた情報部のDDが、FCU軍の士気高揚プロモーション映像を撮影するために民間からスカウトしたのが彼女であった。
さらに父親の口から、巨大多国籍企業エンソーこそがFCU海軍の筆頭スポンサーであり、この空母エンデュランス自体の所有権も半分はエンソーが握っているという実態が明かされる。艦内には今なお専属の撮影クルーが同乗しており、歴史を記録し続けていた。
西への寄港を拒まれ、東には強大な敵戦力「空の番人」が待ち受ける中、エンデュランスに残された海路は北へと狭まりつつあった。
今回の要点・伏線
今回のストーリー要点
- 無人機の突入からエンデュランスを守るため、盾となったイージス艦ステルウォートが撃沈された。辛うじて逃げ込んだデルファイム港でも現地政府がソトアと国交修復を進めているため、部隊は物資の補給を受けられないまま孤立している。
- 急速な工業化による砂漠化で国土を失ったソトア共和国が、巨大軍事拠点メガフロート・ファトシアを拠点とし、軌道質量兵器トニトルスの槍によってエクスポシティを壊滅させて開戦した。南北2隻の陸上戦艦を軸とした電撃戦によりFCUは政治的・軍事的に分断され崩壊した。
- ターシャはユークトバニアの曲技飛行チーム出身であり、エンデュランスの半分を所有する筆頭スポンサー企業エンソーのプロモーション映像のために雇われた民間人であった。
- 首都近辺で停止していたソトア陸上戦艦1番艦が、中立国サンサルバシオンへの侵攻に向けて動き出した。
今回の伏線
- DDが所属する多国籍企業エンソーは空母の共同保有者であり、世界規模の情報網と補給ルートを握っている。国家が消滅した今、エンデュランスの行動方針はエンソーの利害関係に誘導されつつある。
- 国連司令部を一撃で消滅させた質量兵器「トニトルスの槍」の存在。ソトア軍が現在もこの軌道兵器を保持・再使用できる状態にあるのかが極めて重大な脅威となる。
- 入港を拒絶された中立国サンサルバシオンが陸上戦艦に踏みにじられようとしている。義侠心で救援に戻るか、それとも見捨てて修理ドックのある北のホワイトバレーへ向かうかの決断が迫られている。
- 無人機に母艦の位置を捕捉されたことで、エンデュランスが今後さらなる敵の集中追撃に晒される危険性が極めて高まっている。




